うちの子、シニアなのでしょうか?
小型犬のシニア期って何歳からわかりません。
小型犬のシニア期っていつから始まるか知っていますか。
実は人と違い、犬全般を一概に「〇〇歳から」とは言えないのです。
というのも、犬は犬種や体重によって老化の進み方に違いがあるからです。
そこで本記事では、小型犬は何歳からシニア犬とされるのか、そしてその時に見られる変化を解説します。
愛犬のためにも、ぜひ参考にしてみてくださいね。

2016年、日本大学生物資源科学部獣医学科卒。同年4月から、東京都内のペットショップ併設の動物病院に勤務。犬・猫・ウサギ・ハムスターの診療業務を行う傍ら、ペットショップの生体管理や、動物病院の求人管理や、自社製の犬猫用おやつやフードの開発に携わる。
2023年より1年間、分院長を経験し、2024年にフリーランス獣医師として独立。現在は診療業務の他、電話での獣医療相談や、ペット用品の商品監修、記事作成など幅広い業務を行っている。
目次
小型犬は何歳からシニア犬?
犬のシニア期は一般的に「7歳前後から」と言われています。
但し、小型犬は大型犬に比べて寿命が長く、老化のスピードもゆるやかなため、本格的な高齢期はもっと後とされています。
ある研究データでは、小型犬および体重10kg未満の中型犬は、11歳から高齢期に分類されています。
参考:ヤマザキ動物介護大学「高齢犬の認知機能低下に対する飼い主の意識調査」
もちろん、犬種や体格の違いがあるので、一概に11歳からシニア期とは言い切れません。
シニアと呼ばれる年齢には個体差があることを念頭に置き、愛犬が長く健康でいられるよう、シニア期に向けた準備をしておきましょう。
小型犬に分類される「犬種」は?
続いて、シニア期をより詳しく知るために、小型犬に分類される犬種をリストアップしました。
以下で、超小型犬と小型犬に分け、それぞれの犬種と体重をまとめています。
愛犬がどれに分類されるのかチェックしてみてください。
超小型犬
犬種 | 体重 |
カニンヘン・ダックスフンド | 3~3.5kg |
スムース・コート・チワワ | 1.5~3kg |
タイニー・プードル | 2~3kg |
チワワ | 1.5~3kg |
ティーカップ・プードル | 1.5~2.5kg |
トイ・マンチェスター・テリア | 2.5~3.5kg |
トイ・プードル | 2~4kg |
パピヨン | 2.5~4kg |
プチ・ブラバンソン | 3.5~6kg |
ブリュッセル・グリフォン | 3~5kg |
ベルジアン・グリフォン | 3.5~6kg |
ポメラニアン | 1.5〜3kg |
ボロニーズ | 3~4kg |
マルチーズ | 2.5~3.5kg |
ヨークシャー・テリア | 1.5~3kg |
ロング・コート・チワワ | 1.5~3kg |
豆柴 | 4~6kg |
小型犬
犬種 | 体重 |
イタリアングレーハウンド | 3~5kg |
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア | 7~10kg |
ウェルシュ・テリア | 9~10kg |
キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル | 6~9kg |
ケアーン・テリア | 6~8kg |
シーズー | 4~8kg |
シーリハム・テリア | 8~9kg |
シェットランド・シープドッグ | 6~12kg |
ジャックラッセル・テリア | 5~6kg |
スキッパーキ | 3〜9kg |
スコティッシュ・テリア | 8~10kg |
チベタン・スパニエル | 4~7kg |
チャイニーズ・クレステッド・ドッグ | 5〜6kg |
ノーフォーク・テリア | 5~6kg |
ノーリッチ・テリア | 5~6kg |
パグ | 6~8kg |
ビション・フリーゼ | 5~10kg |
フレンチ・ブルドッグ | 8~14kg |
ペキニーズ | 3~6kg |
ボストン・テリア | 5〜11kg |
マンチェスター・テリア | 5~10kg |
ミニチュア・シュナウザー | 4~8kg |
ミニチュア・ダックスフンド | 4~5kg |
ミニチュア・ピンシャー | 4~5kg |
ミニチュア・プードル | 5〜7kg |
ラサアプソ | 5~8kg |
レークランド・テリア | 7~8kg |
ワイアー・フォックス・テリア | 7~8kg |
柴犬 | 7〜14kg |
日本テリア | 2.5~5kg |
狆(ちん) | 3~5kg |
※個体によって異なりますので、あくまでも目安としてください。
小型犬がシニア期になると見られる変化とは?
では続いて、シニア期における小型犬の体や行動の変化について。
高齢の犬によく見られる主な老化のサインを、身体面と行動・認知面に分けて解説します。
では、身体的な変化より。
感覚器の衰え
一つ目は、目や耳など感覚器の衰えです。
老犬になると、目が白く濁ってきたり、視力が低下して目が見えにくくなります。
また、耳が遠くなって呼びかけに気づかない、または反応が鈍くなります。
嗅覚も鈍くなるため、食べ物の匂いや味が感じにくくなり、食欲不振になるケースも少なくありません。
被毛や外見の変化
二つ目は、毛色や毛なみが変わることです。
若い頃のようなつやつやした被毛ではなく、次第に毛艶が無くなり、パサついた感じになります。
抜け毛が増える、白髪が目立ってくるのも老化のサインです。
また、毛の成長も伸び悩むことから、季節の変わり目の換毛期(周期)がずれるといったこともあります。
個体によっては顔つきが変わったり、体型に変化が出ることもあります。
体力や運動能力の低下
三つ目は、体力が落ちて運動に支障が出ることです。
犬も人と同じく、年齢とともに次第に筋肉が落ちていき、足腰が弱っていきます。
筋力が低下することにより、
- 動きが鈍くなる
- ちょっとした段差や階段でつまずく
- 高い所に飛び乗れなくなる
といった場面が増えてきます。
運動量自体も減るため、散歩中に疲れやすくなり、あまり長い距離を歩きたがらなくなる傾向があります。
睡眠・排泄の変化
4つ目は、睡眠のサイクルやトイレの変化です。
老犬は成犬より寝ている時間が長くなります。
成犬は12時間〜15時間に対し、老犬は18時間〜20時間ほどと、ほぼ寝ていることが多いです。
そもそも犬の睡眠時間が長いのは、レム睡眠の割合が大きいためであり、老犬になると体力が低下することから、睡眠時間が長くなってしまうのです。
※レム睡眠は全体の80%と言われています。
もしも極端に睡眠時間が長くなった場合は、以下のような病の可能性も考えられるので、なるべく早く獣医師に相談しましょう。
- 甲状腺機能の低下
- 糖尿病
- 感染症
- 脳腫瘍
- 認知症
- うつ症状
一方で、トイレの間隔が短くなったり、トイレを失敗してしまうことも、シニア犬に見受けられる傾向です。
筋力が落ちてトイレに間に合わない、内臓機能の変化で夜間に排尿する頻度が増える場合もあります。
では続いて、行動や認知面での変化を解説します。
反応や行動が鈍い
5つ目は、犬の反応や行動が鈍くなることです。
成犬に比べて反応が鈍くなるのも、シニア期の典型的な変化です。
たとえば、以下のようなケースがあります。
- 呼びかけに反応しない
- 側に来るまで時間がかかる
- おもちゃや遊びに興味を示さない
この他にも、吠える機会が減った、興奮しにくくなったなど、日頃から落ち着いていることが増えてきます。
性格が変わる
6つ目は、犬の性格に変化が現れることです。
歳と共に、性格面においても変化が見られます。
たとえば、おおらかだった子が神経質になったり、以前より驚きやすくなったりします。
また、老化による視力や聴力の衰えが原因で、飼い主にべったり甘えるようになり、側にいなければその不安から吠えたり暴れるケースも。
他の犬との関わりにおいても、他の犬との距離感が変わり、自分のテリトリーを守ろうと強気になることもあるようです。
子犬や成犬よりも落ち着きは増しますが、犬自身も以前のような動きができないことから、ストレスや不安が性格に現れてしまうのです。
認知機能の低下(犬の認知症)
さいごに、シニア犬は人間と同じように認知症(認知機能障害)の症状が現れることがあります。
たとえば、
- 今まで出来ていたことが出来なくなる(トイレの失敗やコマンドを忘れる)
- 家族とコミュニケーションが取れない
- 夜中に徘徊したり夜泣きする
といった行動変化が見られます。
犬の「認知症」の発症年齢と発生率との関係は、11~12歳が約28%、15~16歳が約68%と報告されていて、 15歳以上では過半数の犬に何らかの症状が現れています。
愛犬が高齢になり、これらの行動の変化が目立つようになったら、早めに動物病院に相談して対処しましょう。
まとめ
以上の通り、犬も年齢を重ねると、見た目や性格に変化が見られるようになります。
小型犬においては11歳頃から、視覚、聴覚、認知面の衰えといった、老化のサインに注意が必要です。
このような変化が見られたら、生活環境の見直しや、必要に応じて獣医師に相談するようにしましょう。
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