犬に服を着せるとその場で固まり動かなくなります。
服を脱がすと元通り元気になるんですが・・・
犬を飼っている人の中には、
「かわいいから」「寒さ対策になる」
こんな理由から、犬に服を着せることも少なくありません。
しかし残念ながら服を着せても、『犬が嫌がって着てくれない』と困っている飼い主さんもいます。
そこで本記事では、そんな悩みを解決するために、
- 犬が服を嫌がる本当の理由
- 服に慣れさせるためのステップ
- 服を選ぶ時のポイント
以上について解説します。

2016年、日本大学生物資源科学部獣医学科卒。同年4月から、東京都内のペットショップ併設の動物病院に勤務。犬・猫・ウサギ・ハムスターの診療業務を行う傍ら、ペットショップの生体管理や、動物病院の求人管理や、自社製の犬猫用おやつやフードの開発に携わる。
2023年より1年間、分院長を経験し、2024年にフリーランス獣医師として独立。現在は診療業務の他、電話での獣医療相談や、ペット用品の商品監修、記事作成など幅広い業務を行っている。
犬が服を嫌がる理由
犬にとって服を着ることは当たり前ではありません。
よって、服を着ることによる違和感や不快感から、服を嫌がってしまいます。
実際に調べてみると、犬に着せる(着せようとする)ことで、以下のような反応・行動を示しているようです。
- ハウスへ逃げる
- 着せるとテンションが下がる
- 嫌がって脱ごうとする
- 機嫌が悪くなる
- 唸って噛みつこうとする
- 服を着ると固まって動かなくなる
- ご飯やおやつを食べなくなる
そもそも犬にとって服は「異物」です。
思うように動けなくなる、いつもの動きの邪魔をする、そんな服に対してストレスを感じてしまうのです。
ただ、こうした犬のことを思ってか、なぜわざわざ犬に服を着せるの?という人もいて、
「そのままの方が可愛いのに…」
「服を着なくても体温調整できるでしょ」
「犬は着せ替え人形じゃない!」
と、服を着せることに否定的な意見を述べています。
結局のところ、犬に服を着せるべきなのでしょうか?それとも着せない方がいいのでしょうか?
犬が服を嫌がるのに着せるべき?
結論から述べると、普段から犬も服を着る習慣を身につけた方が良いです。
なぜなら服はファッションに限らず、犬にも服を必要とする場面があるからです。
たとえば、お出かけ時にはマーキングや粗相をしないためのマナーウェアがあり、手術後には傷口を保護するための術後服があります。
他にも寒さ・暑さの対策、抜け毛を防止するためといった用途など、衣類を必要とするシーンは様々です。
飼い主はよかれと思ってやったとしても、服を着る習慣がなければ、犬は牙を剥いたり暴れてしまいお手上げ状態になります。
ゆくゆくは老犬になりオムツも必要となりますので、普段から衣類に慣れさせといた方が賢明でしょう。
嫌がる犬に服を着せるコツとは?慣れさせるための工夫
既に述べた通り、犬には服を着る習慣がないため、はじめのうちは嫌がられることがほとんどです。
無理に着せようとすると、更にストレスになってしまうので、段階的に慣れさせる必要があります。
以下のようなステップで進めましょう。
服に慣れさせる
まず、始めから服を着せようとせずに、においを嗅がせたり服に触れさせましょう。
それから背中にかけたり前足だけを通すなど、犬が嫌がらない程度に慣れさせていきます。
犬が服に触れた時にはご褒美をあげて、「服はいいことがある」と認識させることです。
これを繰り返していくと、服はいいことに繋がると徐々に理解し、服に触れたり着せたりしても嫌がらなくなるようになります。
慣れるペースは犬によって違いますので、焦らずに「できたね」「おりこうだね」と優しく声をかけながら少しずつ慣らしていきましょう。
着せやすい服を選ぶ
はじめは袖のないタンクトップや、背中で留めるベスト型など、簡単に着脱できる服を選びます。
袖を通す必要のないもの、マジックテープやスナップボタンで留めるタイプなどは、素早く着せることができるため、犬への負担が少なくて済みます。
以下で、着せやすい服を選ぶ時の注意点をまとめました。
体に合ったサイズを選ぶ | 購入する前に、犬の首周り・胴回り・着丈と、体のサイズを測ります。測定値をもとに、少し余裕のあるサイズを選びます。 |
素材と軽さを重視する | 肌に優しいコットン素材、伸縮性のあるストレッチ素材など、柔らかくて通気性の良い生地がおすすめです。静電気が起こりやすいとか、厚手・硬い素材は犬が嫌がる傾向があります。 |
着脱しやすいデザイン | 背中で止めるタイプや前足だけ通すだけの構造など、着せやすいものを選びます。マジックテープ、スナップ、ジッパー式であれば着脱が簡単で楽です。 |
動きを妨げない形状 | 犬が自然に動けることも大切です。ベルトや袖口が締めつけないか、足を動かすのに支障がないかなど、服によって歩行やジャンプを妨げないようにしましょう。 |
余分な飾りを避ける | リボンやチャーム、大きなボタンなど引っ掛かりやすい装飾は外せるタイプが望ましいです。爪が引っかかって怪我をしないよう、シンプルで安全なデザインの方が安心です。 |
また、首輪ではなく胸を覆うハーネスにすると、服を着ることへの抵抗が薄れる上、首への普段も軽減できます。

こちらの調査の通り、実際にハーネスを使っている人の多くは、首への負担が少ないことからハーネスを選んでいます。
勿論、「首輪の方が犬が嫌がらない」場合もありますが、服を着せることを前提とした場合、ハーネスで慣れさせた方が良いでしょう。
『服を着る = 楽しい』と紐づける
服を着ることに慣れてきたら、散歩に出かけるタイミングで着せるようにしましょう。
これを習慣化することで、自然と「服を着る = 散歩に行ける」と犬は理解し、服を着ることが楽しくなります。
実際にネット上には、
「うちは服を着る=散歩なので、服を持つと大変な騒ぎになります。」
「服を通す順を覚えて、自ら手を持ち上げて協力してくれます。」
「服を着たあとはリードをつけてくれるまでお座りで待ってます。」
という意見も多数あり、しっかりと「服を着る = 楽しい」が根付いているようです。
たまにサングラスやカツラなど、色々着せられている犬も見かけますが、きっと飼い主が外へお出かけする時に着るというルールを作っているのでしょう。
失敗しないよう安い服から買う
人と同じく犬の性格も様々で、せっかく買ったのに気に入らず、全く着てくれないこともあります。
だから、いきなり良い服を買わずに、安いものから試しに買って着せましょう。
多少質が悪くても見た目で選び、サイズだけ注意して買ってみましょう。
あくまでも「服に慣れさせる」ことが目的ですので、はじめのうちはお手頃なものがおすすめです。
「嫌がると思いお試しでダイソーで買いました」という人も実際にいるので、まずは気軽に安いものから買ってみましょう。
まとめ
以上の通り、犬はもともと服を着る習慣がなく、服を着ること自体に抵抗があります。
また、長時間着用させ続けると、皮膚が蒸れて皮膚炎のリスクも高まります。
そのため基本的には服を着せずに、犬自身が体温調節できるようにして、散歩やお出かけ時など、必要な時にだけ着せるようにしましょう。
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