動物病院で嫌われる飼い主はいますか?
残念ながら、答えは「YES」です。
実際にネット上には、飼い主とトラブルになり困っている獣医師や、嫌な思いをさせられた動物看護師の声が見受けられます。
後に述べますが、飼い主が病院内でした「何気ない発言や立ち振る舞い」が、病院のスタッフたちを困らせてしまっているようです。
そこでこの記事では、動物病院で嫌われる飼い主の特徴と、今日からできる改善ポイントをご紹介します。

2016年、日本大学生物資源科学部獣医学科卒。同年4月から、東京都内のペットショップ併設の動物病院に勤務。犬・猫・ウサギ・ハムスターの診療業務を行う傍ら、ペットショップの生体管理や、動物病院の求人管理や、自社製の犬猫用おやつやフードの開発に携わる。
2023年より1年間、分院長を経験し、2024年にフリーランス獣医師として独立。現在は診療業務の他、電話での獣医療相談や、ペット用品の商品監修、記事作成など幅広い業務を行っている。
目次
動物病院で嫌われる飼い主とは?
結論から述べると、動物病院で嫌われる飼い主とは「獣医師の言うことを聞かない人」です。
以下はこの根拠と言える、SNSやネットで調べた嫌われる原因です。
- にわか知識で反論する
- 獣医師にやたら意見する
- 診断に口を挟んでくる
- 言われた通りに薬を飲ませない
- 病院で勧めるフードやサプリを買わない
- 犬の自慢話(無駄話)が多い
- 噛み犬なのに口輪を付けてこない
- 自分の犬の体を触れない
- ホテルに預ける時に手作り食を渡される
- きちんと通わない
- 同業者(医師、薬剤師、専門家など)
- 薬だけ欲しいと言う人
- 病院側の都合を無視して来る(予約しない)
- 横柄な態度をする(常連)
例えば、「そうじゃなくて、この子は〇〇だと思うんです」と、ネットなどの情報を鵜呑みにして意見したり、診断や治療方法に口出しするといった行為を、獣医師は迷惑に感じています。
獣医師としては、きちんと説明しても聞く耳をもたなければ、よい関係も築けないし、診察や治療もスムーズに進みません。
相手は動物のプロですので、愛犬のために基本的にはよく聞くべきです。
動物病院で好かれる飼い主
反対に、動物病院の獣医師や動物看護師に好かれる飼い主はどのような人なのでしょうか?
ひと言で言うと、「獣医師の言うことをきちんと聞く人」です。
動物が体調を崩した時に、飼い主が不安になるのは当然かもしれませんが、冷静に対応できる人は病院側から信頼もされます。
例えば、
⚫️説明に対して真摯に受けとめてくれる
⚫️治療の必要性を理解してくれる
⚫️次回の予約や通院スケジュールを守る
このように協力的な姿勢をもつ飼い主であると、獣医師は安心して会話ができる上に好感が持てます。
診察中に取り乱したり感情的になると、獣医師も正しい判断がしづらくなりますので、飼い主は適切な対応をしましょう。
実際に獣医師が飼い主に対して感じていること
獣医師さんは、なんらかの病状がある犬を連れた飼い主に対して、どのような見解をもっているのでしょうか?
まず第一に言えることは、そもそも「犬の健康管理ができていない」ということです。

こちらの調査は獣医師に対して、
「愛犬の健康管理が十分にできていない飼い主は多いと思いますか?」
という質問に対するものです。
グラフの通り、94%以上の獣医師が「犬の健康管理ができていない飼い主が多い」と答えています。
それを裏付けるのが、次の調査結果です。

こちらは「症状が悪化してから動物病院を受診する人は多いか?」という質問です。
健康管理と同じく「多い」と答えている獣医師は90%を超えています。
このように犬の健康管理ができていない飼い主に対して、獣医師は疑問に思っているはずです。
もしもこのような飼い主から、思いもよらない言動を受けたとしたら、フラストレーションは募り、その飼い主を嫌になってしまうことでしょう。
引用元:PR TIMES「愛犬の健康管理」に関する調査」
獣医師やスタッフに嫌われないためにするには?
動物病院では飼い主の言動ひとつで、獣医師やスタッフとの信頼関係が大きく変わることがあります。
つまり、ちょっとした気配りやマナーを守ることで、診察をスムーズにし、ペットにとっても安心できる環境につながるのです。
ここでは、獣医師や動物看護師に嫌われないために、飼い主として気をつけたい基本的なマナーをご紹介します。
診察前にペットの状態を整理しておく
病院でペットの症状をうまく伝えられるように、犬の様子のメモに残したりして、記録を用意しておきます。
「いつから様子がおかしかったのか?」
「どのような症状が現れている(いた)のか?」
行動や食欲、排泄の変化など、細かい情報が診断に役立ちます。
例えば、
「昨日の夜8時ごろから食べなくなりました。水は飲んでいます。」
「昨夜と今朝下痢をしていて、体が小刻みに震えて止まりません」
このように伝えると、飼い主の情報を元に獣医師は的確な判断がしやすくなります。
治療をきちんと守る
獣医師から処方された薬の服用、通院のスケジュールなどは、できるだけ正確に守るようにしましょう。
「うっかり忘れてしまった」
「犬が寝ていたから薬をあげていない」
このような理由で治療を怠ると、犬の体調が良くならないのはもちろん、経過を見ることもできなくなります。
病院へ行って診察を受けたのなら、適切な治療や処置を行うのは当然のことなので、指示されたことはきちんと守って行いましょう。
守るべきポイントの例
- 処方薬の用量・回数を間違えない
- 通院の日時を守る
- 指示があるまで食事や運動制限を続ける
病院のルールを守る、他の飼い主へ配慮する
動物病院は、犬に限らず多くの動物が集まる場所です。
だからこそ、待合室でのマナーやスタッフへの対応にも注意が必要です。
そこで病院内では次のような点に配慮しましょう。
- 犬にリードをつけ、飼い主は必要に応じてマスクを装着する
- 犬の様子によってはキャリーバッグで連れていく
- 他の動物にむやみに近づけない
- スタッフに対して偉ぶる・横柄な態度をとらない
犬自身も、飼い主が落ち着いていると安心できるので、病院内では静かに毅然とした態度を振る舞いましょう。
感謝の気持ちを忘れない
最後は、獣医師やスタッフへの「ありがとうございます」のひと言を忘れずに。
たったそれだけで、その後の関係に少なからず影響します。
獣医師や動物看護師、スタッフたちも飼い主と同じく動物を大切に思っています。
お互いが協力し合える関係を築くことが、ペットにとって1番の環境をつくることに繋がります。
まとめ
「犬のために」と思いしていることが、実は病院の現場では逆効果になることがあります。
知識やこだわりも大事ですが、それ以上に大切なのは『犬のために獣医師の意見を受け入れること』です。
動物病院にいる人たちも、犬を守りたい気持ちは飼い主と同じです。
だからこそ、お互いに協力と信頼は欠かせません。
「また来て欲しい」と思われるよう、獣医師や働くスタッフさんにちょっとした気遣いを忘れずに。